慣れや思い込みの怖さを久しぶりに体感した出来事があった。通常交わしている会話の中で専門用語をなるべく使わずにお客様に伝える工夫をしているつもりである。しかしお客様の理解と此方側の伝えたつもりの温度差がいつまでも縮まらない。面と向かっての話だと、まだ伝わった度合いが感じられるが、電話だとなかなかうまく伝わらない。
良い報告は、電話とかメールでも良いが、複雑な話とかは、やはり面と向かって説明をしたいと思う。購入後のスケジュールにローンを使ったものは、銀行とのやり取り等で何度か銀行に出向く事になる。その出向く内容によっては、必ずローンの申込者が行かなくてはいけない場面がある。忙しい人だとその時間さえ取れない事も有り、事の重要性を伝えても本人の自覚が無く、説明している側の人間がイライラしてしまう。これは大変申し訳ない事だと思ってはいるが、だんだん声のトーンが冷ややかになってくる自分が、怖かった。
冷静に伝えようとすればするほど、冷ややかできつい口調になってしまう。電話の向こうでは、「理解できない!!分かるように言ってくれ」と思っている様子が此方に伝わってくる。お客様に取って最善のつもりで伝えるが伝わらない・・・空しさを感じてしまった。お客様の立場に置き換えて話を伝えて行くことのむずかしさ・・不動産売買の仲介業を何十年もしてきたが、まだまだだと反省ばかりである。
お客様の立場が分かれば希望が分かると、教えられた。しかし自分の立場が先行して仕舞っているからこそ、お客様に気持ちが伝わらないし、要望が見えてこないのだろうと思う。「お客様の気持ちに添って不動産仲介業をこれからもして行こう」と、お客様との電話を切って大いに反省した一日であった。
渡部