やっと裁判が終わったと顧問弁護士の先生から報告を受けた。すんなりと売却に出せるだろうと思っていた住宅に思わぬ落とし穴が有ったのが昨年の春先。それから1年が経つ。それでも終わって見えてくるものもある。1年が長かったのか短かったのか分かるのはこれからだろう。

佐藤様(仮名)が、弊社に相談に見えて足掛け2年が経った。賃貸にするか売買するかまだ決めかねていた佐藤様である。すっかり自分の物だと思い込んでいた住宅が、ふたを開けてみたら、名義が変更になっていなかった。前所有者のままであった。「財産分与で貰ったつもりの住宅」の残りのローンも払い終わり、いざ売却を考えた時に、権利上売るに売れない住宅になっていた。公団は、買い戻し特約が有り、財産分与をした時期は、まだ特約を抹消出来なかったらしい。

時期が来たら抹消するつもりで書類も揃えていたが、書類を整理していたつもりがいつの間にか紛失していた。ローン返済中は、子育てと仕事に追われ住宅の売却など考えた事もなかった。権利がどうなっていようとも気にしないで生活していたし出来た。年を重ねて改めて終の棲家を考えた時に、初めて権利関係で、自分の所有権に変更されていない事に気付かされた佐藤様。それからは、弁護士の先生と共にご自分の権利を守り名義変更まで漕ぎ着けた。私もホッとした事件終了である。

高齢化に伴い相続事案も増えてきている。すんなりと相続できるとは、限らない状況も多々ある。相続人がきちんと存在しているケースばかりでない。未婚のままだと、財産を相続する人がいない場合もある。色々と難儀なケースが増えてくるだろう。近頃は、駆け込み寺のように相談に来てくれる人も増えた。一つ一つの事案に応えられるように、諸先生に助けてもらいながら地域の皆さんの役にたって行こうと思っている。

渡部